オゾンとは
オゾン(O3)は、オランダの科学者 Martinus Van Marumによって1785年にその存在が発見され、1840年にドイツの化学者によって、特徴的な匂いから、ギリシア語で「臭い」の意味の言葉に因み Ozon と名付けられました。3つの酸素原子からなる酸素の同素体であり、フッ素の次に酸化力が強いため、高濃度の場合、人体に害を及ぼす猛毒な気体です。一方で、酸化力が強い事と、自然に分解され酸素に戻るため環境に優しいとの理由から、古くから利用されてきました。UVオゾン洗浄改質装置だけでなく殺菌、漂白、消臭などにも利用されています。
紫外線照射によるオゾン発生のメカニズム
酸素分子(O2)に、240nm 以下の波長の短い紫外線を照射すると、解離と呼ばれる分解反応が起こり、二つの酸素原子(O)に分離されます。
低圧水銀ランプを光源とするUVオゾン洗浄改質装置では、主に184.9nmと253.7nmの波長の紫外線が照射されています。184.9nmの紫外線のエネルギーは647kJ/molであり、酸素分子の結合エネルギー 490kJ/molより大きいためです。
O2 + h → O + O
そして解離した酸素原子(O)と他の酸素分子(O2)が反応し、オゾンが生成されます。
O + O2 → O3
オゾンによる洗浄表面改質
一般大気中で紫外線照射されることにより、UVランプ直下では、オゾンを含む活性酸素の濃度が高くなります。その際に洗浄表面改質効果として次のような現象が発生します。
- 処理対象物の表面を酸化しやすくする状況
- 処理対象物表面の有機汚染物質と活性酸素が反応しやすい状況
この二つの効果により、紫外線だけによる洗浄表面改質能力をより高めることが可能です。
オゾンによる生体への影響
オゾン自体は、人体にとって毒性の高い物質ではありますが、不安定で自己分解により酸素に戻りやすい性質を持っています。オゾンを発生させる装置については、設置、運用を直接規制する法規制等は存在しませんが、作業環境や発生源となる装置の安全機構は必須です。
また、オゾンの発生を伴う装置の導入や作業現場では、その危険性を認識することは重要です。
作業環境基準
オゾンの許容濃度については、公益社団法人日本産業衛生学会(JSOH:Japan Society for Occupational Health)により勧告基準(2021)として、0.1ppm(0.2g/m3)と定められています。このオゾン濃度は、労働者が一日8時間、週40時間程度の労働中に肉体的激しくない労働に従事する場合の曝露濃度がこの数値以下であれば、ほとんど全ての労働者に健康上の悪影響が見られないと判断される濃度をいいます。
また、米国の基準として、米国産業衛生専門会議(ACGIH: American Conference of Governmental Industrial Hygienists)から、0.1ppm TLV-TWA 値(1993-1994)という数値が存在します。
TLV : Threshold Limit Value
TWA:Time Weighted Average Concentration
室内環境基準
オゾン濃度の指標としては、公益社団法人日本空気清浄協会(JACA:Japan Air Cleaning Association)の報告において、オゾンを発生する器具による室内ガスの許容濃度として、最高0.1ppm 平均0.05ppm の提言がなされています。
生体への影響
オゾン濃度 | 影響 |
---|---|
0.01~0.02ppm | 僅かな臭気を確認できる(やがて馴れる) |
0.1ppm | 明らかな臭気があり、鼻や咽喉の刺激を感じる (労働衛生的許容濃度) |
0.2~0.5ppm | 3~6時間暴露で視覚低下 |
0.5ppm | 明らかに上部気道に刺激を感じる |
1~2ppm | 2時間暴露で頭痛・胸部痛・上部気道の渇きと咳が起こり、暴露を繰返し受ければ、慢性中毒となる |
5~10ppm | 脈拍増加、肺水腫を招く |
15~20ppm | 小動物は2時間以内に死亡する |
50ppm | 人間も1時間で生命危険 |
オゾンを安全に使用するために
オゾン自体は独特の刺激臭が有り、敏感な人で0.01ppm程度の濃度から判別する事が出来るため、臭気がする場合は換気等の対策を取ることを推奨しています。
当社装置は、ランプ冷却も兼ねた陰圧構造で設計されており、通常の使用でオゾンにさらされる危険性はありません。オゾン排気接続などが不可能な場合や排気設備がない場合、オゾン分解装置のご提供を行っております。
当社では、オゾン安全管理士の資格を取得した営業技術者によるオゾン濃度測定やオゾン分解装置単体でのご提供もおこなっています。オゾン排気についてお悩みがありましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。