紫外線とは、目で見ることができる可視光線よりも短い波長をもつ光です。
一般的に紫外線は波長が短いほど距離による減衰が大きいと言われています。
太陽から地球に到達した紫外線の強度を見てみると、大気に入る前はどの波長においても強度に大きな差は見られません。しかし、地上に到達する頃には波長が短いほど強度が小さくなっていることが分かります。これは、大気中での散乱や成層圏のオゾンによる吸収の影響を短い波長の方が大きく受けるためです。
当社装置で使用している低圧水銀ランプから放射される184.9nm、253.7nmの波長は示されていませんが、同様に184.9nm、253.7nmの波長においてもより短い184.9nmの波長の方が大きく減衰します。
図1 UVインデックスの概念図
出典:気象庁ホームページより引用
そこで実際に各波長においてどの程度減衰するのか、UV照射装置ASM1101Nと各社の照度計を用いて距離と各波長の照度を測定し、距離と減衰率をまとめてみました。
測定実施条件
UV照射装置 | ASM1101N |
254nm照度計(オーク製作所製) | 照度計本体型式:UV-M03A UVセンサ型式:UV-SN25 |
254nm照度計(ウシオ電機製) | 照度計本体型式:UIT-250 UVセンサ型式:UVD-S254 |
185nm照度計(浜松ホトニクス製) | 照度計本体型式:C9536 UVセンサ型式:H9535-185 |
ランプ、センサ間照射測定条件 | 5mm、25mm、45mm、75mm |
照度算出方法 | 各距離毎に、ステージ上の5ポイントを測定し、平均値を取得 |
測定実施環境 | 室内温度:22.6℃、湿度10% |
ランプから5mm地点での各照度を100%としてグラフにしました。253.7nm(青とグレー線)の波長は距離70mm地点で約70%の照度となっています。
それに対し184.9nm(オレンジ線)は距離70mm地点で約30%の照度しかなく、より大きく減衰してしまっていることが分かります。
UVによる洗浄においては炭素同士の二重結合等、大きなエネルギーを持った結合の切断が必要になります。そのためには大きなエネルギーを持った短波長、つまり184.9nmの光が十分にあたる距離で照射する必要があります。