オゾンの測定は数ある気体の濃度測定の中でも難しい部類に入ると言っても過言ではありません。オゾンは非常に高い反応性と自己分解性を持っており、化学的に不安定な物質であるためです。
オゾン濃度を測定しようと思ってもその不安定さゆえに、測定中に刻々とオゾン(O3)は酸素(O2)へと変化してしまい、測定機器と反応してオゾン濃度が低下してしまうこともあります。
オゾン濃度の測定方法についてはいくつかありますが、どの方法を用いるにしてもこの点は注意する必要があります。どの方法もオゾンの酸化反応を反映した方法になっています。
主なオゾンを検出する原理としては、後述する6つの方法でほぼ網羅されています。
ヨウ素法
測定対象:気相、液相
オゾンをヨウ化カリウム(KI)と反応させてヨウ素(I2)を遊離し、遊離したヨウ素を定量する方法。
O3 + 2KI + H2O → I2 + 2KOH + O2
ヨウ素の定量法には何種類かあります。
ヨウ素法はオゾンの酸化力の強さに基づいた測定方法です。ヨウ素法には、ヨウ素滴定法、吸光光度法、電量法、ひ素逆滴定法といったものがあり、ヨウ素滴定法と呼ばれる方法が最も一般的です。特徴としては他の測定方法に比べて測定に時間はかかりますが、最も信頼度の高いオゾン濃度の測定法と言えます。
紫外線吸収法
測定対象:気相、液相
紫外線領域のオゾンに固有な吸収波長である254nm付近における吸光度を測定する方法。
オゾンが254nmの紫外線をよく吸収するという特性に基づいた測定法になります。254nmの紫外線はオゾン分子以外の分子には吸収されず、オゾンのみに吸収される特異な波長です。紫外線吸収法は気相と液相どちらでも測定が可能で測定時間も短く、装置の取り扱いも比較的簡単なので実際のオゾン測定には最もよく利用されている測定方法になります。
測定装置は、光源に低圧水銀ランプ(発光波長254nm)を使用し、光路長’T’の間に存在するオゾンに吸収される光量が「ランバート・ベールの法則」に従うことより、オゾン濃度を算出します。
化学発光法
測定方法:気相
エチレン(C2H4)とオゾンが反応する時に発光(450nm)を生じ、その化学発光量を検出する方法。
ケミルミネッセンス法とも呼ばれ、オゾンが物質と反応する時に発する光を利用した測定方法になります。化学発光法の利用は紫外線吸収法に比べて限定的です。化学発光法は気体分子同士の反応によるものの為、測定は気相オゾンの測定に限定されます。
変色法
測定対象:液相
オゾンの酸化反応による発色や脱色した量を比色、又は光の吸収度で検出する方法。
変色法はオゾンと物質の酸化反応によって物質が発色、又は脱色することを利用した測定法になります。発色を採用するか脱色を採用するかで使う物質は異なり、発色用にはDPD(ジエチル・パラフェニレン・ジアミン)やオルト・トリジン等の物質が使われ、脱色用にはインジゴカルミンが使われます。尚、この測定方法は取り扱いが少し面倒でもある為、実際に使われることはほとんどありません。
半導体センサ法
測定対象:気相
オゾンにより半導体の薄膜表面を酸化させ、薄膜の抵抗変化により検出する方法。
この方法は半導体薄膜をオゾンにさらし、オゾンにより薄膜が酸化した時の抵抗変化を検出する方法になります。半導体センサによる検出方法は検出感度は高くて且つ、簡単な測定方法ではありますが、長期的に見た時に安定性にやや欠けるといった特徴があります。
定電位電解法
測定対象:気相
一定の電位に設定した電極の気体透過エリアをオゾンが通過することでオゾンの電気分解が発生し、その電気分解の際に発生する電流値からオゾン濃度を算出する方法です。
定電位電解法の優位点は吸引式とは異なり、拡散状態にあるオゾンの濃度測定が可能です。一方、共存する他のガスの影響を受けやすいというデメリットがあります。