UV洗浄改質効果の保管温度比較事例 金属

UV洗浄改質装置コラムページへのご訪問、ありがとうございます。

今日のテーマは「UV洗浄改質効果の持続時間」です。よろしくお願いします。

今回コラムではUV洗浄改質処理をした金属材料(今回はステンレス、アルミニウム、チタン)が保管する温度によって親水性の低下速度(元の状態に戻る速度)にどの程度の差が生じるのかを測定しました。

有機物である樹脂材のUV洗浄改質後の親水性の低下速度は保管する温度が高ければ速くなり、逆に温度が低ければ遅くなるというデータがあります。それでは無機物である金属材ではどうなるのかを実際に行って確かめたデータとなります。

金属材へのUV洗浄改質の原理については樹脂材の場合とは異なると考えられており、金属材にUV洗浄改質処理を行うと表面には緻密な酸化膜が形成されてそのことで接着力が向上するようです。金属材にUV洗浄改質を施すとまずは洗浄効果が働き、次に酸化反応の効果(親水性の高まり等)が現れます。

有機物と無機物でUV洗浄改質の原理が異なるのであれば、保管温度による親水性低下の速度や傾向が有機物の場合と異なる可能性はあるのではないでしょうか・・・・。

今回は少々カタい感じにはなりますが、気になる御客様はお読みいただければと思います。


測定条件等

材質

金属材3種(ステンレス、アルミニウム、チタン)

確認方法

金属材3種にUV洗浄改質処理を実施。各材質について「冷蔵庫内・一般環境(室内)・乾燥炉内」の3条件にて保管。経過時間毎の静的接触角を測定する。測定期間は7日間。(土日は測定対象外)下記UV照射時間にて処理。経過時間毎に測定ポイントを定める。

照射装置及び照射条件

  • UV洗浄改質装置:ASM1101N
  • UV照射時間:300sec
  • ランプとの距離:50mm  

測定結果:ステンレス(SUS304)


UV照射後の濡れ性経時変化データ(ステンレス)

  照射前 照射直後 1h 3h 5h 7h 24h
室温(25℃) 88.1 36.0 44.7 44.6 53.1 53.8 56.4
冷蔵庫(3℃) 83.9 35.8 45.1 44.7 44.6 46.1 48.7
乾燥機(50℃) 79.1 39.6 43.0 49.2 57.2 50.1 55.4
  30h 48h 54h 72h 78h 96h 102h 168h 174h
室温(25℃) 57.7 59.8 60.6 61.2 63.4 64.2 62.8 66.7 67.6
冷蔵庫(3℃) 45.1 45.1 48.6 52.6 49.9 49.0 50.2 52.3 51.3
乾燥機(50℃) 57.3 63.3 57.0 54.5 62.4 67.5 63.7 64.6 71.0

UV照射後の濡れ性経時変化グラフ(ステンレス)

UV照射後の濡れ性経時変化グラフ(ステンレス)
UV照射後の濡れ性経時変化グラフ(ステンレス)

測定結果:アルミニウム(A5052)


UV照射後の濡れ性経時変化データ(アルミニウム)

  照射前 照射直後 1h 3h 5h 7h 24h
室温(25℃) 98.1 51.8 62.9 65.8 69.9 70.9 77.3
冷蔵庫(3℃) 93.1 42.8 51.9 52.2 57.0 50.6 54.6
乾燥機(50℃) 93.8 39.8 44.1 47.4 50.8 51.4 58.4
  30h 48h 54h 72h 78h 96h 102h 168h 174h
室温(25℃) 76.6 79.5 82.3 83.1 84.5 82.7 83.5 86.7 86.5
冷蔵庫(3℃) 59.0 54.5 56.0 56.8 58.8 56.1 61.1 61.3 50.9
乾燥機(50℃) 57.9 64.9 68.7 71.0 71.3 73.2 72.1 78.6 85.8

UV照射後の濡れ性経時変化グラフ(アルミニウム)

UV照射後の濡れ性経時変化グラフ(アルミニウム)
UV照射後の濡れ性経時変化グラフ(アルミニウム)

測定結果:チタン(純チタン)


UV照射後の濡れ性経時変化データ(チタン)

  照射前 照射直後 1h 3h 5h 7h 24h
室温(25℃) 58.0 28.7 32.0 36.4 41.3 40.0 45.1
冷蔵庫(3℃) 62.9 20.4 30.7 34.5 35.6 35.5 33.3
乾燥機(50℃) 74.4 13.6 28.5 33.9 29.6 31.2 33.5
  30h 48h 54h 72h 78h 96h 102h 168h 174h
室温(25℃) 42.4 44.9 47.6 49.8 49.4 46.1 46.4 51.9 53.5
冷蔵庫(3℃) 32.0 35.9 36.7 37.3 37.2 34.0 33.6 39.0 41.7
乾燥機(50℃) 35.1 39.7 40.7 43.4 44.7 46.7 47.9 47.2 47.1

UV照射後の濡れ性経時変化グラフ(チタン)

UV照射後の濡れ性経時変化グラフ(チタン)
UV照射後の濡れ性経時変化グラフ(チタン)

まとめ

親水性の低下速度は一般環境保管(室内)と乾燥炉内保管では同じような傾向で、冷蔵庫保管が最も親水性の低下速度が遅い結果となりました。

結果より金属材も樹脂材と同様、親水性の低下が保管温度による影響を受けることが確認できました。但し冒頭で述べた樹脂材と金属材で親水性低下の速度や傾向が違うのではないかという可能性については、無機物である金属材の方が有機物である樹脂材と比べ親水性低下の速度が速いことから、保管温度の影響をより強く受ける傾向にあると言えます。

それでは今回はこのあたりで。次回もよろしくお願いします。

装置ご導入にあたり当社ラボにて実際の照射対象物での測定等承っております。
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