UV表面洗浄改質装置コラムのページにご訪問いただき、ありがとうございます。
本日のテーマは「オゾンの排出による大気汚染の影響は?」になります。御客様からも稀にですが、ご質問いただきますので本日のテーマに選びました。
先に結論を申し上げるのであれば、オゾンの排出による大気汚染の心配はありません。もちろん根拠もありますので、ご興味ある方はぜひお付き合いください。
それでは本日もよろしくお願いします。
まずは、オゾンに関する法令のお話からさせていただきます。
現在の日本には大気中のオゾン濃度そのものや大気中へのオゾン自体の排出濃度を直接規制する法令はありません。
しかしながら、オゾンへの直接の規制は無くてもオゾンを含んだ大気汚染物質の排出についての環境基準は存在します。それが「光化学オキシダント濃度を対象とした環境基準」というものです。
環境基準とは人の健康の保護及び生活環境の保全の上で維持されることが望ましい基準として大気、水、土壌、騒音をどの程度に保つことを目標に施策を実施していくのかという目標を定めたものです。環境基準は維持されることが望ましい基準であり、行政上の政策目標になります。
「環境基準」という単語だけ抜き出すと「目標」になるのでこれ自体に法的な強制力はありません。ですがこの「光オキシダント濃度を対象とした環境基準」は環境基本法の「第三節 環境基準の第十六条」に規定されている基準になります。つまりは「単純な基準」なら法的な強制力はありませんが、「法律によって規定された基準」であればそれは守らなくてはならないものになります。
ようやくですがここで、「光化学オキシダント・・・・?」と思われる方も多いのではないでしょうか。聞き馴染みのないワードだと思いますので、簡単ではありますが解説します。
光化学オキシダントとは?
光化学オキシダントとは工場や自動車から排出される窒素酸化物や炭化水素が太陽光からの紫外線エネルギーに反応してできるオゾンを含んだ大気汚染物質の総称で、光化学オキシダントの大気環境基準濃度は1時間当たり0.06ppm以下になります。
さて・・・・ここまで読んでいて、こう思われた方もいるのではないでしょうか。
オゾンを含んだ大気汚染物質に対しての規制があるのなら、オゾンは大気汚染の原因になるのでは・・・・?
オゾンはこうした規制対象の中には入るものの、排出されることでの大気汚染の心配はありません。
これはオゾンという物質の特性によるところが大きいです。
オゾンとは
オゾンは人体にとって毒性の高い物質ではありますが、不安定で自己分解により酸素に戻りやすいという性質を持っています。つまりは大気中で自然に無害な酸素と酸素原子に分解されるということです。酸素は空気中へ、酸素原子は空気中の有害物質と酸化反応し消滅しますので分解に時間はかかるものの、大気中にオゾンは残りません。
上記のような特性の為にオゾンは発生した直後が高濃度であっても大気中に放出された後、少し時間はかかりますが自然に分解します。
故にオゾン装置を使用している工場や研究所等からのオゾン排気によって大気中のオゾン濃度が国の環境基準値以上になってしまうとは考えにくく、直接的に排出量を制限するような法令も現状ないのが実情となります。
いかがでしょう。ここまではご理解いただけたでしょうか。
それでも装置使用場所周辺の大気中のオゾン濃度が局所的に高くなる可能性はゼロではありませんよね。もし、オゾン濃度が局所的に高くなった場合はどうなるのでしょうか。こちらについても書いておこうと思います。
オゾン装置を使用している工場及び研究所等、施設周辺のオゾン濃度が局所的に高くなる可能性は考えられますが、環境省のホームページに記載があります。
「1.環境基準は工業専用地域、車道、その他一般公衆が通常生活していない地域または場所については適用しない。」とありますので、こちらについても問題はございません。安心していただいてよろしいかと。
いかがでしたでしょうか。
オゾンの排出に対して直接の規制はなく、オゾンを含んだ汚染物質の排気について規制はあるものの、オゾンの特性によって特別な対策を取らなくても問題ないということがおわかりいただけたでしょうか。
ですがこれは発生したオゾンを大気中、つまりは外へ排出する場合になります。装置を使用している室内へオゾンをそのまま排気することは絶対にしないでください。オゾンは人体にとって毒性の高い物質だということを忘れてはなりません。
オゾンの発生を伴う装置の導入及び作業現場ではその危険性を認識することは重要だと思います。ですので、オゾン装置を導入する御客様にはオゾンを正しく理解して色々と対策をしていただくことをお願いしたいです。
今回コラムが御客様のお役に立てれば幸いです。 それでは今回はこのあたりで。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。