UV表面洗浄改質装置コラムのページにご訪問いただき、ありがとうございます。今回コラムは「オゾン濃度の測定方法」についてです。
色々な測定原理がありますが、UVオゾン洗浄装置を使用する実際に現場で利用されているオゾン濃度の測定方法についてご紹介していきます。
ご興味ある方はお付き合いください。それでは今回もよろしくお願いします。
早速ですが、オゾン濃度の測定方法には以下のような方法があります。まずは、教科書から引っ張ってきた内容です。
- ヨウ素法
- 紫外線吸収法
- 化学発光法
- 変色法
- 半導体センサ法
- 定電位電解法
- 検知管法
測定原理や方法は色々あるのですが、実際の現場で使用されてる「装置」として実用化されているわけではありません(当社調べ)。
ですので、測定原理によっては化学の実験のようにビュレットやビーカー、ピペットを用意しなければ測定ができないものもあります。
現場でオゾン濃度を測定しようとする時に考えるべきは「装置の持ち運びやすさ」、「測定作業のやりやすさ」、「測定結果の再現性」といったところではないでしょうか。
当社では、正確性や手軽さなどを検討し、「紫外線吸収法」と「検知管法」を採用しています。
以降はご紹介した各オゾン濃度の測定方法について、その概要をご説明していきます。「紫外線吸収法」と「検知管法」については概要だけでなく、実際に装置を使って測定をしてみての所感もお伝えしますので、これからオゾン濃度測定をお考えの御客様はどの測定方法を採用するのか参考にしてみてください。
1.ヨウ素法
測定対象:気相・液相
ヨウ素法はオゾンの酸化力の強さに基づいた測定方法で、オゾンをヨウ化カリウム(KI)と反応させてヨウ素(I2)を遊離し、その遊離したヨウ素を定量する方法になります。
O3 + 2KI + H2O → I2 + 2KOH + O2
ヨウ素法の特徴としては他の測定方法に比べて測定に時間はかかりますが、種々のオゾン濃度測定方法の中でも信頼度の高いオゾン濃度の測定法というところになります。
ヨウ素法を採用したオゾン濃度測定器については調べてみましたが、実用化はされていないみたいです。また、ヨウ素法でオゾン濃度を測定する場合にはメスシリンダ、ピペット、ビュレット、ビーカー、撹拌棒等の道具を用意する必要がある為、現場での測定には不向きな方法と言えるでしょう。装置として提供するというよりは、『自らすべてそろえて濃度測定を実施する』際の測定原理です。
2.紫外線吸収法
測定対象:気相・液相
この測定方法はオゾンが254nmの紫外線をよく吸収するという特性に基づいた測定法になります。254nmの紫外線はオゾン分子以外の分子には吸収されず、オゾンのみに吸収されるという特異な波長です。
紫外線吸収法は気相と液相どちらでも測定が可能で測定時間も短く、装置の取り扱いも簡単なので実際のオゾン測定にはよく利用されている測定方法になります。
前述した「よく利用されている」という言葉通りで紫外線吸収法を採用した装置は実用化されており、販売は一社からのみというわけではなく複数社から販売されています。
写真は弊社で使用している紫外線吸収法を採用したオゾン濃度測定器になります。荏原製作所製のオゾン濃度計「EG-3000D」です。装置正面で測定レンジの選択といった操作を行い、装置背面には測定に使用するPFAチューブを接続します。
このPFAチューブの先端をオゾン発生源に近づけてオゾンを吸引。濃度計内でオゾン濃度を測定し、濃度計表面のモニタにオゾン濃度が表示されるといったものになります。
実際に私自身もこの装置を使っているわけですが、装置の操作は簡単でヨウ素法のように色々と道具を用意しなければならないといったこともないので、測定作業はやりやすいです。測定結果の再現性という点についても何の問題もありません。
装置の持ち運びやすさという点では装置自体が約12kgあるのでそれなりに重たいです。
あとは装置を設置するテーブルも必要ですね。地面に置いても電源さえあれば使用できますが、作業性は悪いので・・・・。
ちなみにですが、紫外線吸収法式を採用しているオゾン濃度測定器には弊社で使用している卓上型もあれば、ポータブル型もありますので、想定される測定状況に応じて選べます。
3.化学発光法
測定方法:気相のみ
エチレン(C2H4)とオゾンは反応する時に発光(450nm)を生じるので、その化学発光量を検出することでオゾン濃度を測定する方法になります。化学発光法はケミルミネッセンス法とも呼ばれます。
化学発光法の利用はヨウ素法や紫外線吸収法に比べて限定的です。気体分子同士の反応によるものの為、測定は気相オゾンの測定に限定されます。
装置としては実用化はされていますが、先ほどご紹介した紫外線吸収法に比べると取り扱っているメーカーは少ないです。調べたところ、オゾン濃度の測定というよりはオキシダントの測定に用いられているような印象です。
ちなみにですが、オキシダントとは工場や車から出る窒素酸化物や炭化水素(が太陽からくる紫外線のエネルギーによって反応してできるオゾンやPAN、アルデヒドなどの汚染物質でオキシダントは一つの汚染物質の名前ではなく、それらの総称です。
4.変色法
測定対象:液相のみ
変色法はオゾンと物質の酸化反応によって物質が発色、又は脱色することを利用した測定法です。酸化反応による発色や脱色した量を比色、又は光の吸収度でオゾンを検出します。
発色を採用するか脱色を採用するかで使う物質は異なるのでそこは注意が必要なのですが・・・・
この測定方法は測定対象が液相のみであることと、使う物質の取り扱いが少し面倒らしく使われることはほとんどなく、装置としても実用化されていないみたいです・・・・。調べても出てきません。
ちなみにですが、発色で使用される物質はDPD(ジエチル・パラフェニレン・ジアミン)やオルト・トリジン等の物質、脱色にはインジゴカルミンが使われます。
5.半導体センサ法
測定対象:気相のみ
この方法は半導体薄膜をオゾンにさらして薄膜表面を酸化させ、オゾンにより薄膜が酸化した時の抵抗変化を検出する方法になります。
半導体センサによる検出方法は検出感度は高くて且つ、簡単な測定方法ではありますが長期的に見た時に安定性にやや欠けるといった特徴があります。
空気清浄器や室内モニタリングのためのオゾンガス監視目的として、機器への組込ユニットとして提供もされていたりします。
6.定電位電解法
測定対象:気相のみ
一定の電位に設定した電極の気体透過エリアをオゾンが通過することでオゾンの電気分解が発生し、その電気分解の際に発生する電流値からオゾン濃度を算出する方法です。
定電位電解法の優位点は吸引式とは異なり、拡散状態にあるオゾンの濃度測定が可能です。装置も卓上型とポータブル型があるので想定される測定状況に応じて測定器を選ぶこともできます。
その一方で共存する他のガスの影響を受けやすいというデメリットがあるので、その部分には注意が必要です。
7.検知管法
測定対象:気相・液相
※検知管法は気相も液相も対応していますが、気相と液相で検知管は異なるので注意です。以降の内容は気相の測定が前提になります。
検知管法はオゾンに反応して変色する粒上の検知剤をガラス管に充填したものを採取器にセットし、規定量の試料(ガス)を採取。検知剤の色がオゾン濃度によって変わるのでそれによってオゾン濃度を測定する方法です。ガラス管には濃度の目盛が印字してあり、オゾン濃度によって色が変わったところの目盛を直読します。
検知管法の良い点は電源不要で持ち運び自由。測定したいときにすぐに測定ができるところにあります。
今までご紹介してきた測定方法の装置ですと用意しなければならない最低限の道具があったり、電源が必要であったり、装置自体が重めで持ち運びが少し大変といった部分が必ずありましたが、検知管法はそれらがありません。ですので、フットワーク軽くオゾン濃度の測定を行うことができます。
弊社でも検知管法でオゾン濃度を測定することもありますが、それは装置の持ち運びが大変な場所であったり電源の確保が難しい状況の時です。そのような時にとても有用な測定方法です。
ですがその反面、他の測定方法に及ばない所もあります。
オゾン濃度の測定が検知管の目盛の直読になるので、測定者によって読み取りに誤差が生じることがあります。これは測定の再現性にも関係してくることです。その為、オゾン濃度の測定に高い「厳密さ」を求める場合ですと、検知管法での測定は避けた方が無難と言えるでしょう。
いかがでしたでしょうか?
オゾン濃度の測定方法の種類は幾つかありますが、実際に製造現場等で採用できる方法となると限られてしまうことがお分かりいただけたのではないかと思います。
測定方法も測定をする状況、場所によって選ばなければならないということですね。そうなると、やはり汎用性が高い測定方法が選ばれる傾向があるということなんでしょうか・・・・。
本コラムが御客様のご参考になれば幸いです。それでは今回はこのあたりで。最後までお読みいただき、ありがとうございました。