紫外線の強い季節になってまいりました。私事ですが半袖ワイシャツの袖の境目で既に肌の色が違います。夏本番まではまだ先ですが、今の時期でもすぐ日焼けしちゃいますよね。
単に肌を焼くだけならば、弊社自慢の低圧水銀ランプなら太陽光の何十倍もの速さで焼けますが・・・・っとそんな恐ろしい冗談はこれくらいにして本題へ・・・・。
さて、今回は「紫外線の規制について」というカタいテーマになります。
とっつきにくいかもしれませんが、順を追ってわかりやすく書こうとは思いますので今回もお付き合いいただけたら嬉しいです。
「そもそもまず紫外線とはなんだ?」とか「紫外線は危険だぞ!」とか・・・・これ、別のコラムで書いた気がしたんですけども・・・・すみません、書いた気になっていただけでした。
今回のコラムはここが肝ですので順番にしっかり書いていきます。まず基本中の基本、紫外線とは・・・・?
紫外線とは?
波長が10~380nmの電磁波のことで可視光線より短く、X線より長い波長になります。紫外線を「UV」とも言いますがこれは紫外線を英語にした時の頭文字です。紫外線は英語にすると「Ultraviolet」となりますのでUVと呼んでいます。
皆様方、ここまでの話は大丈夫でしょうか?
さらに続けますと・・・・。
紫外線の種類
UV-A
UV-Aは315~380nmの波長域で大気圏ではほとんど吸収されない為、99%が地表に到達します。
波長が長いため皮膚の深くまで貫通。シミやソバカスの原因になり紫外線硬化、光化学反応に使われます。
UV-B
280~315nmの波長域で地上20~50kmの上空に存在するオゾン層により強く吸収され、その一部が地表に到達します。
皮膚の表面で吸収されるので日焼けの原因、皮膚癌や白内障などの疾患を引き起こす原因となります。
UV-C
200~280nmの波長域で大気圏の酸素及びオゾンにより強く吸収を受けるため、地表には到達しません。
波長が短いのでエネルギーが大きく、生物のDNAに吸収される最も有害な紫外線です。
紫外線を含めた光の種類の分類も載せさせていただきます。ご参考まで。
さて、他社様も含めて弊社も取扱っている紫外線照射装置。紫外線硬化装置やUV表面洗浄改質装置がありますが、これらは今まで説明してきた紫外線の「UV-C」の波長帯のエネルギーを利用しています。「UV-C」は一番危険性のある波長帯でしたね。
UV-Cの危険性については先ほどご説明した通りです。では太陽光に比べてどれくらいのUV-Cが装置のランプから発せられているのでしょうか?単純比較してみましょう。
<太陽から発せられる紫外線>
おおよそ6000μW/cm2
<UV表面洗浄改質装置 ASM401N>
およそ10mW/cm2
ん?1.6倍違う・・・・そんなに大きな差ではない気が・・・・と思われた方もいるのではないでしょうか?
太陽光から発せられる紫外線は「UV-A」、「UV-B」、「UV-C」を全て含んだ照度です。実際、6000μW/cm2の中の9割はUV-Aになります。仮に残りの1割を「UV-B」、「UV-C」で半々だとすると・・・・。
太陽から発せられる紫外線(UV-C):おおよそ300μW/cm2
UV表面洗浄改質装置(当社製)ASM401N:およそ10mW/cm2
太陽光から発せられているUV-Cとの差は約33倍!太陽光からのUV-Cは地表に届かないとはいえ、先ほどの危険性も勘案するとほんの少しの量でも怖いですね。そんな「UV-C」が太陽光の数十倍発せられる装置ですから安全対策は必須になります。
安全対策も当然重要ですが、それ以前に法律でもしっかりと規制されています。
ようやく今回コラムの主題です。以下、労働基準法及び施行規則の抜粋になります。
別表第一の二(第三十五条関係)
- 一 業務上の負傷に起因する疾病
- 二 物理的因子による次に掲げる疾病
- 1 紫外線にさらされる業務による前眼部疾患又は皮膚疾患
- 2 赤外線にさらされる業務による網膜火傷、白内障等の眼疾患又は皮膚疾患
- 3 レーザー光線にさらされる業務による網膜火傷等の眼疾患又は皮膚疾患
- 4 マイクロ波にさらされる業務による白内障等の眼疾患
以下省略
施行規則の引用が長くなりましたが、法律で定められた規制があるということをお分かりいただければと思います。
ですので作業者の安全面から考えても法律の観点から考えても安全装置、すなわちインターロック機能は必須ではないかと思います。安全面に配慮の欠けた装置を使用していて後で労働基準監督署に知られた場合、言われてしまうかもしれませんので・・・・。
あすみ技研のUV表面洗浄改質装置ならインターロック機能は標準装備ですし、オゾン排気についてもオプションにはなりますがオゾン分解装置もご用意しておりますので、安心安全にUV-Cを使って研究、開発、生産業務に取り組んでいただけます。
最後、宣伝になりまして恐縮です。
それでは今回はこのあたりで締めさせていただきます。今回もお読みいただきましてありがとうございました。
追記
別表第一の二(第三十五条関係)にある『紫外線にさらされる~』の「紫外線」の定義について、当局へ確認を行いました。波長は積算光量、暴露時間などの定義はなく、その場合は辞書などの定義によると回答でした。『紫外線にさらされる~疾患』とあるので、因果関係は医師の判断に委ねる形になるそうです。法の想定している業務は、アーク溶接作業や食品の殺菌業務などを想定されているそうです。
当社の装置ような波長ではなさそうですが、光エネルギーの量は大きくなるため、装置導入にあたっては、インターロックなど安全を期す設計で間違いないかと思われます。