光源面積、有効照射面積の意味の違いは?

いつも当社のコラムをご覧いただき有難うございます。今回はR&D用小型標準装置の装置スペックで、どうも似たような表現で、意味が分かりづらいキーワードについてです。

その似たような言葉とは・・・・、

  • 光源面積
  • 有効照射面積
  • 試料台サイズ

の3つです。


主なR&D用小型装置の各スペック

各装置の仕様表より抜粋しました。コラムを読み進めるにあたって参考にしてください。


  ASM401N ASM1101N ASM2001N ASM2003N ASM2503N
光源面積 W100×D100 W160×D160 W217×D228 W380×D350 W380×D420
有効照射面積 W50×D50 W100×D100 W200×D200 W300×D300 W300×D350
試料台サイズ W130×D120 W230×D190 W297×D240 W350×D320 W330×D380
使用本数 1本 1本 1本 3本 3本
単位:mm

光源面積

まずは、光源面積についてですが、通常UVランプは水平に設置され、そのランプ自体(石英ガラス部分)の面積になります。


例として、ASM2001Nのランプ図面を御覧ください。

この場合、幅217mm、奥行き228mmとなります。


どちらかと言いますと実際に装置選定、使用する際はあまり気にする必要は無いといえるスペック値です。自宅の部屋で、天井の蛍光灯のランプの面積を気にされる方は少ないと思います。大事なのは、『どれだけの広さが明るくなるか』ではないでしょうか。

大体、次項目の有効照射面積より少し大きい範囲になります。


有効照射面積

次に有効照射面積についてです。UV洗浄表面改質装置の仕様において、一番重要な項目になります。先程の例えで言えば、『どれだけの広さが明るくなるか』といえます。

例えば、試料台サイズが大きくても、肝心の紫外線が届かなければ、洗浄改質効果は期待できず、実際にお客様が洗浄改質したい部分をカバーする必要があります。

また、こちらの数値を比較したりする際に重要になるのが、

  1. その有効照射面積内での紫外線照度
  2. 照度測定に使用された照度計メーカーはどこか?

です。

1については、たとえ有効照射面積が広くても肝心の照度が低ければなんの意味も有りません。当社では機種によって有効照射面積の数値のあとに、『◯◯mW/cm2 以上』と記載させていただいています。

2については、紫外線照度計自体がメーカーによって大きく数値が異なるためです。どこのメーカーが良いかというわけではないのですが(当社では、オーク製作所製を採用しています)、メーカーが異なる場合、ある程度数値を換算する必要があります。

ちなみにですが、WEBなどで色々拝見しますと意外とこの一番大事な数値の記載がない装置が多いような気がします・・・・。


試料台サイズ

最後に試料台サイズについてです。

もしお客様が色々なサイズのワークをUV処理される場合には大事な数値になってきます。一方でちょっとややこしい数値です。

仕様表には、『試料台サイズ』と記載してありますが、実際には『ワークを載せる事ができる面積』のほうが意味合いが近いと思います(かといって、その表現が完全に当てはまるわけではないのが更にややこしくなるところです)。

それぞれについて説明させていただきます。


スペーサでのランプ距離調整するタイプ

例えばASM401N(ASM401oz)ですが、試料台は下記のようになっています。

401Nステージ画像

ご覧のように、試料台自体のサイズは、W130mm×D120mm(赤色の⇔で示したエリア)ですが、401シリーズはランプとの距離調整をスペーサーとピンを用いるため、試料台内側にピンが貫通しています。そのため例えば125mm×118mmとかのサイズの平板を置くことはできません。ピンの内側の寸法W115mm×D75mm(紫の⇔で示したエリア)が試料台サイズと表現したほうが良いのかもしれません。


棚段でランプ距離調整するタイプ

このタイプに該当する装置は、ASM1101NとASM2001Nです。

まずは、試料台の図面をご覧ください。

こちらを見ていただければ、『試料台サイズは、W244×D190だな』と思われると思います。


ところが、棚段式の場合、幅方向が棚段自体に隠れてしまうため、少し(片側7mm、左右合計約14mm)小さい数値となります。


そのため、例えばASM1101Nでは、試料台サイズは、W230×D190(mm)と記載させていただいています。


ちなみに、試料台サイズの数値が必要な例として、下記のようなワークを洗浄改質する時です。

1101N用ワーク事例
ASM1101N用ワーク事例

ワーク自体の最大平面寸法は、180×180(mm)。

一方、洗浄改質したいエリアは、ワーク上部のΦ100mm(赤い斜線部分)のケースを想定します。



1101N上面から紫外線照射イメージ図
灰色の部分:ワーク(180mm×180mm)
紫の正方形:有効照射エリア(100mm×100mm)

ASM1101Nのステージにワークをセットした上面からの図を作成しました。

中央の紫色の部分が有効照射エリア(100mm×100mm)で、ワークの洗浄改質したいΦ100mmの部分は、範囲内に収まっています。

一方、ワーク自体は180×180(mm)のため、有効照射エリアからはみ出ますが、試料台サイズがW230×D190(mm)ですので、無事置くことができました。


ラボジャッキでランプ距離調整するタイプ

こちらのタイプは非常にシンプルです。ASM2003NやASM2503Nなど若干大きめのタイプが該当します(ランプが3本とか)。


試料台寸法 = ワークを載せれる寸法


ラボジャッキでランプ距離調整するタイプの説明は以上です。すべての装置がこのようにシンプルなら楽なのですが・・・・


まとめ

以上、光源面積、有効照射面積、試料台サイズなど説明させていただきましたが言葉足らずのところが多々あるかと思います。

『ん、うちのワーク、乗るかな?UV光は届くサイズかな?でも、コラム読むのは面倒くさいぞ!』っと思ったら、弊社に電話とかメールをください。すぐお調べさせていただきます!

(K.O)