銅に対するUVオゾン表面改質による分析事例

銅は、下記のような特性から電子部品において重要な役割を果たす材料です。

特性

  • 高い導電性: 銀に次ぐ高い導電性を持ち、効率的に電気信号を伝達。
  • 優れた熱伝導性: 熱を伝えやすく、電子部品の放熱を助ける。
  • 加工性: 延性・展性に優れており、微細な加工が可能。

価格も高騰しており、ニュースでちょくちょく盗難事件も報じられていますね。

銅画像

最近、銅のUVオゾン表面改質に関する相談が多くなってきているため、改めてUVオゾン処理の有効性を確認するために、銅サンプルの処理をおこなってみました。

濡れ性改善が有効であることを確認するために、下記のデータを測定を目指したいのですが・・・・。

  • 接触角(純水)が低下すること
  • 表面自由エネルギーが増加すること
  • 半田の濡れ製が増加すること
  • マイクロスコープでの表面組成測定(O,Hが増加すること)

結論から申し上げますと、後半の2項目は断念しました。

半田の使用量が多く、ちょっと予算的に・・・・。あと弊社のマイクロスコープでは表面組成測定で数値がはっきりと捉えませんでした(おそらくレーザーでドリリングしながらの測定なので、表面削っちゃてるのかなと。XPS分析装置欲しい・・・・)。

気を取り直して、表面自由エネルギーを測定します。まずは、使用機器と測定実施日の環境です。


処理実施日

測定日 2024/9/24
室内気温 25℃
湿度 42%

使用機器 / 処理条件

UVオゾン表面改質装置 ASM1101N(S/N:212245)
排気風量設定 1.5m3/min
ダンパー開度 100%
暖気運転 15分間
照射距離 30mm

評価測定装置

接触角計 B100(S/N:B04-055)
着液量 1μL
着液安定待ち時間 5秒
プローブ液 純水、ジヨードメタン
SFA解析方法 Owens and Wendt
N数 3

UV照射時間 [秒] 0 30 60 120 180 300
積算光量 [mJ/cm2] 0 823.9 1714.5 3536.8 5360.8 8066.1
ピーク照度 [mW/cm2] 0 29.54 30.25 30.31 30.38 30.41
接触角(純水) 106.3 92.6 71.6 58.5 49.6 35.2
接触角(ジヨードメタン) 62.1 48.7 38.7 39.7 35.5 37.7
分散力 γd 27.67 33.89 35.69 32.87 33.70 30.83
水素結合力 γh 0.05 1.11 7.86 16.11 21.18 31.72
SFE γ 27.72 35.00 43.55 48.98 54.88 62.55

銅-純水 接触角推移

純水に対しては、きれいに濡れ性が上がっていっています。


表面自由エネルギー

こちらは表面自由エネルギーの推移です。分散力はほとんど変わりませんが、UVオゾン表面改質前ほとんどゼロだった水素結合力が、300秒照射後は30mJ/m2程に増加しているのが確認できます。