UV硬化(紫外線硬化)とは?
UV硬化とは、UVキュア(紫外線キュア)、UV乾燥(紫外線乾燥)などと呼ばれ、主に波長365nm付近の紫外線を照射することにより、樹脂を硬化させる技術です。
印刷や接着、コーティングなど様々なものの製造に利用されており、従来の熱による乾燥に比べ、処理速度、環境への負荷、エネルギー効率など様々なメリットがある製造技術です。
身近なところでは、波長が若干異なりますが、ネイルの硬化や歯の詰め物の硬化などにも利用されています。
紫外線による樹脂硬化のメカニズム
UV硬化のメカニズムは、「光重合反応」が樹脂内で起こり液体が固体に変わることをいいます。
UV硬化樹脂は、モノマー、オリゴマー、光重合開始剤と添加剤で構成されており、紫外線の照射を受けると光重合開始剤がモノマー(液体)状態からポリマー(固体)状態に変化させます。熱硬化型の樹脂との違いは、光重合開始剤が含まれていることです。
液体であるUV硬化樹脂にUV光が照射されると、含まれる光重合開始剤がラジカル重合反応を起こし、液体から固体にします。
ラジカル重合反応とは
ラジカル重合反応とは、モノマー(単量体)からポリマー(重合体)が生成される過程である重合反応の一種であり、微量のラジカルを発生させ、そのラジカルを反応の中心としてポリマー鎖が伸張していく反応です。光重合開始剤は、光による結合開裂反応を用いて、重合のきっかけとなるラジカルを発生させる物質を言います。
ラジカル重合反応の流れ
- UV硬化樹脂にUV光が照射されると、樹脂に含まれる光重合開始剤は紫外線のエネルギーを吸収してエネルギー準位が高くなり、基底状態から励起状態となります。
- 励起状態になった光重合開始剤は非常に不安定な状態であり、自身の光開裂や水素供与体から水素原子を引き抜くことなどによりラジカルが生成されます。
- 主剤であるモノマーと生成されたラジカルが、付加反応を起こし結合します。
- 結合による生長が繰り返えされ、液体であった樹脂が硬化し固体に変化します。
- ラジカルは不活性化し、UV硬化反応が終息します。この一連の反応をラジカル重合反応といいます。
UV硬化の特長
熱硬化樹脂と異なり、UV硬化樹脂は、加熱・乾燥の工程におけるエネルギー消費が少なく、熱硬化性樹脂よりも非常に短時間で硬化します。一方、UV光の照射の仕方など工夫が必要なケースがあります。
- 高生産性 硬化時間はわずか0.1~数秒
- 低温処理
- 環境性 有機溶剤の消費が少ないため、大気汚染・水質汚染を回避。作業者への負担少
- 省スペース
- 品質向上 艶度、強度、耐溶剤性、耐磨耗性、耐汚染性が向上
- 省エネルギー
UV硬化の応用事例
UV硬化技術は、接着・印刷・乾燥など、印刷分野から電子部品製造・ハイテク分野など欠かすことのできない製造プロセスとして、さまざまな分野・用途で利用されています。
接着
- チップ部品の接着
- モータマグネットの接着
- ガラス、レンズの接着
- リード線などの仮固定
印刷
- 電子部品のマーキング
- CD、DVDの印刷
- プラスチック成型品の印刷
- シール、ラベルの印刷
コーティング
- 金属の防錆塗装
- レンズのハードコート
- 木工製品の塗装
- 樹脂製品のハードコート
印刷
- 液晶パネルの封止
- 補修用パテ剤の硬化
- 液晶パネルのメインシール
- 電子部品の仮止め