オゾン分解の際に発生する触媒毒について

オゾン分解装置のコラムページへご訪問いただき、ありがとうございます。今回のテーマは「オゾン分解の際に発生する触媒毒について」です。

早速ですが「触媒毒」という言葉をみなさんは聞いたことがありますでしょうか。そもそも触媒とはどういった物を指すのでしょう。ご存じでしょうか?

本題へ入る前に、まずは「触媒」からお話させていただこうと思います。


触媒とは?

触媒とは理論的にはそれ自体、何も変化せず(半永久)に特定の物質の化学反応の促進をしたり、その反応速度に影響する働きをする物質のことを指します。

触媒のロジック

多くの触媒は上記のものになりますが触媒の中にはその反応に対して何らかの相互作用を生じ、時には触媒自身が変化することもあります。そうすることで反応経路を変えて反応を促進することも。


以上が「触媒」についての説明になりますが・・・・。さて、ここからが本題です。

理論上は「半永久」的に使用可能な触媒も実際に使用する場合、様々な要因によって性能が低下することがあります。実使用ではオゾン分解の際に触媒を通過する物質はオゾンだけとは限らないケースもあり、オゾン以外の物質が触媒毒として性能低下を引き起こすこともあるということです。

例を挙げれば、UV光を使った表面洗浄改質装置では有機汚れをUV光とオゾンを使って洗浄しますが、汚れの種類によっては汚れを分解する際に触媒毒となる物質が発生。それがオゾン分解触媒にも作用して性能を低下させることもあります。

触媒毒の他にも性能低下をもたらす要因にはいくつかありますが、今回はタイトルにもある通り「触媒毒」をメインに書いていきますので、ご興味ある方はよろしくお願いします。


それでは触媒毒というものについてお話させていただきます。触媒毒とは触媒に性能低下をもたらす被毒現象のことで、それをもたらす物質のことを被毒物質と呼びます。触媒毒には種類があります。


①触媒への物理吸着による被毒(一時被毒)

ハロゲンガスやNOX(窒素酸化物)が触媒に吸着することで、分解したい対象の物質の吸着や反応プロセスを阻害して反応の効率を低下させることがあります。この被毒の度合は被毒ガスの分圧によります。

つまりは被毒ガスが除去されると反応効率が戻ることもある為、「一時的な被毒」を略して「一時被毒」と称しています。被毒の症状として触媒から酢酸臭がすることもあります。


②触媒との化学結合、又は付着による被毒(永久被毒)

被毒現象を引き起こす化学物質が触媒に逐次堆積していくことで反応プロセスを阻害します。除去再生することが困難な場合にこれを永久被毒と称します。一般的に硝酸系、硫黄系、腐食系ガス、シリコン等有機化合物などがそれに該当し、被毒の症状として触媒から酢酸臭がすることもあります。

ここまでが触媒の性能低下をもたらす触媒毒についてのお話になりますが、コラムの冒頭では触媒の性能低下をもたらす要因には触媒毒以外にもあることは前述させていただきました。

最後になりますが触媒毒以外に触媒の性能低下をもたらす要因についても少し触れて、今回は終わろうと思います。ご参考にしていただければ幸いです。


ダスト付着による性能低下

ダスト(ほこり、ごみ等)に触媒表面が覆われることで反応プロセスが阻害されて、触媒の性能低下が起こります。この場合については一時被毒と同じように性能低下の原因であるダストが除去できれば反応効率のある程度の回復が見込めます。


熱劣化

触媒には固有の耐熱限界温度があります。耐熱限界温度を超える温度で使用すると触媒の構造が変化して性能の回復ができなくなります。ちなみに弊社のオゾン分解触媒が使用できる温度は最大180℃です。


水分劣化

弊社のオゾン分解触媒に限った話かもしれませんが、触媒は水に弱いです。触媒に頑固な汚れが付いて性能が低下したから水洗いしてリフレッシュ・・・・なんてことはできません。触媒の使用環境についても湿度70%以上の環境下での使用の場合は性能低下も起こります。


それでは今回はこのあたりで。最後までお読みいただき、ありがとうございました。