UV硬化処理で「オゾン」は発生しますか?

UV硬化装置コラムページへのご訪問、ありがとうございます。

本日のテーマは「UV硬化時にオゾンは発生する?しない?」がテーマです。よろしくお願いします。

さて、早速ですが結論からお話してしまうと、

UV硬化では、基本ほとんどオゾンは発生しません。


この「基本」という部分に含みがあるのですが、UV硬化装置でランプが高出力のものについては明らかな臭気を感じるくらいのオゾンが発生することはあります。ですが、ほとんどのものについてはオゾンが発生したとしても微量。臭気もほぼ感じないくらいです。

どこからが高出力になるのかという議論にもなってしまうのですが少なくとも弊社標準品で且つ、手軽にお使いいただけるようレンタルとしてもご用意しているハンディタイプのUV硬化装置については明らかなオゾン臭がする濃度のオゾンが発生することはありません。

ここで簡単ではありますが、UV照射によるオゾン発生のメカニズムについてご説明しておきます。


UV照射によるオゾン発生のメカニズム

オゾン発生のメカニズムを説明する上で、重要なのが解離と呼ばれる分解反応です。

空気中の酸素分子(O2)に240nm以下の波長の短い紫外線を照射すると解離と呼ばれる分解反応が起こり、酸素分子は二つの酸素原子(O)に分離します。

酸素分子の結合エネルギーは、490kJ/molであり、例えば低圧水銀ランプの主波長184.9nmの持つ光エネルギーは、647kJ/molと結合エネルギーを上回っているため、分断される仕組みです。

O2 + hν → O + O

そして解離した酸素原子(O)と他の酸素分子(O2)が反応してオゾン(O3)が生成される、というメカニズムです。

O + O2 → O3

高圧水銀ランプ ランプスペクトル
高圧水銀ランプ ランプスペクトル

グラフは弊社のハンディタイプUV硬化装置で使用している高圧水銀ランプのスペクトルになります。

グラフより、240nm以下の波長の紫外線はほとんど発せられていないことが確認できます。

つまりは240nm以下の波長の紫外線が発せられない、又は発せられたとしても微量であればオゾン(O3)は発生しないということが言えます。


さて、オゾン発生のメカニズムを解説させていただいたところで、実際にオゾンの発生量を測定してみたいと思います。


使用機材

ハンディタイプUV硬化装置
ハンディタイプUV硬化装置

写真が弊社のハンディタイプUV硬化装置でASM2501という装置です。ハンディタイプという名前の通り、作業者が照射機を手に持って硬化対象物に向けてUV光を照射し、硬化処理を行います。ランプ出力は250Wなので高出力と呼ばれる範疇には入りません。


オゾン濃度測定装置
オゾン濃度計 EG-3000D(荏原実業製)

オゾン濃度測定の手順は至ってシンプル。ハンディUV装置にてUV光を実際に照射。その際にオゾンが発生するかを弊社で所有しているオゾンモニター(荏原実業製)で測定してみようというものです。


測定手順

  1. 硬化装置のランプを点灯。照度が安定するまで5分ほど暖機運転を行う。
  2. オゾンモニターの電源を入れ、こちらも暖機運転を行う。暖機運転は20分間。
  3. 硬化装置とオゾンモニターの暖機が終了したら、照射機近くまでオゾンモニタの検出部を近づけてオゾン濃度を測定する。

以上の手順で測定を実施します。実際の測定風景はこのような感じです。

左からハンディタイプUV硬化装置(スタンド付き)、オゾン濃度測定装置です。オゾン濃度はUV硬化装置のランプ冷却の為の排気口(写真では上部の半透明の小さいチューブのところです)の部分で測定しました。

オゾン濃度測定作業風景

それでは結果を見てみましょう!!


測定結果

オゾン濃度測定結果(装置排気口)
オゾン濃度測定結果(装置排気口)

オゾン濃度測定は5分間行い、オゾン濃度計にはデータロガーを接続してオゾン濃度の変化を連続的に観察しました。それがグラフになります。

グラフを見て頂ければわかる通り、オゾンの発生は0.01~0.02ppmと微量でほとんど発生していないと言える結果でした。グラフ上で「0.1ppm」を赤線としているのは日本産業衛生学会の勧告基準値が0.1ppmである為です。弊社ではこの数値をオゾンが人体に影響を及ぼす濃度の目安としております。

これでUV硬化装置の排気口部でオゾンはほぼ存在していないことがはっきりとわかりましたね。

本当ならば、ここでコラムを締めようと思っていたのですがせっかくなのでランプ直下でのオゾン濃度も測定してみました。測定の様子はこちら。

オゾン濃度測定作業風景(ランプ直下)

オゾンモニターの表示部には「0.04ppm」と表示が出ています。さすがに高出力ランプでなくてもランプ直下では先ほど測定した排気口よりもオゾンは存在するようです。もちろん、ランプ直下の濃度測定でも連続的に濃度の変化を観察してみました。

オゾン濃度測定結果(ランプ直下)
オゾン濃度測定結果(ランプ直下)

この「0.04ppm」という数値についても日本産業衛生学会の勧告基準値と比べれば低く、人体に大きな影響を及ぼすような濃度ではありません。更にはこのくらいの濃度であればすぐにオゾン(O3)は酸素(O2)へと変わります。ご安心ください。


あすみ技研ではUV光を用いた表面洗浄改質装置も取り扱っていますが、それについてはもう少し高濃度のオゾンが発生します。たまにですが、御客様がそれと勘違いをされて「UV硬化装置はオゾンが発生するんじゃないの?」っというご質問を弊社にされることがあります。そこで今回のコラムテーマとして取り上げてみました。これで御客様の不安が解消されればと思います。

もしUV硬化装置のカスタマイズ機で高出力のランプを搭載した装置をご検討される場合でも弊社ではオゾン分解装置も製造しておりますので、そちらを接続すればオゾンが発生しても無害な酸素(O2)として排出されます。

最後になりますが、ご参考までに前述させていただいた日本産業衛生学会のオゾン濃度の勧告基準のリンクを貼っておきますので、気になる御客様はそちらもご確認いただければと思います。

許容濃度等の勧告(2021年度)

それでは今回はこのあたりで。今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。