低圧水銀ランプの発光原理

UV表面洗浄改質装置コラムをご覧いただき、ありがとうございます。今回のテーマは「低圧水銀ランプはどんな原理で発光しているの?」です。ぜひお付き合いください。

UV表面洗浄改質装置に使用されている低圧水銀ランプ・・・・実は私たちが普段よく目にする蛍光灯と発光原理はほとんど同じなんです。違いといえばガラス管の内側に蛍光物質が塗布されているか否かということくらいなのですが、その仕組みは意外に複雑です。

一体ランプの中でどんなことが起きているのでしょうか?

イラストを交えて解説していきたいと思います。


低圧水銀ランプの基本構造

まずはランプの基本構造から見ていきましょう。少しデフォルメしてイラストにしてみました。不活性ガスや水銀は当然目視することはできません。

低圧水銀ランプ 基本構造


電極

コイル状のフィラメントにエミッタと呼ばれる電子放射性物質が塗られたもので、両端に出ている端子に繋がっています。エミッタは熱が加わると大量の熱電子を放出するという性質を持っています。

水銀

気体状になっており、石英ガラス管内に微量に封入されています。エミッタから放出された熱電子とぶつかることで紫外線を放出します。

不活性ガス

放電を起こしやすくするために石英ガラス管内に封入されています。高温でも化学反応をほとんど起こさない性質を持つことと、空気中に多く含まれていて精製コストを抑えられるという理由でアルゴンが使用されるのが一般的です。


低圧水銀ランプの発光原理

基本構造を簡単にご説明したところで、いよいよ本題の発光原理についてです。ランプの中で何が起きているのか、順番に見ていきましょう。


①電圧がかかると電極(フィラメント)が加熱され、エミッタから熱電子が放出されます。


②陰極から放出された熱電子は反対側の陽極に引かれて移動し、放電が始まります。

低圧水銀ランプランプ点灯前
低圧水銀ランプランプ点灯前

低圧水銀ランプランプ点灯中
低圧水銀ランプランプ点灯中

③熱電子が水銀原子にぶつかる(取り込まれる)と、熱電子のエネルギーを受けて水銀原子が励起されます。

※励起とは…外部からのエネルギーにより原子や分子がエネルギーの低い安定した状態からエネルギーの高い状態に移ること。

④励起状態の水銀原子は過剰なエネルギーを持っていて不安定なので、安定状態に戻ろうとします。その際に特有のエネルギーとして紫外線を放出します。

※低圧水銀ランプは184.9nmと253.7nmの波長の紫外線を主に放出しますが、それ以外の波長の光、つまり可視光線もわずかに放出されており、それによってランプが発光して見えます。


以上、低圧水銀ランプの発光原理を解説させていただきました。聞き慣れない単語が多くて読みづらかったかもしれません・・・・。

『なるほどそういう仕組みだったのか!』と少しでも思っていただけたら嬉しい限りです。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。