オゾン濃度測定 出張事例
『出張測定がどのように行われるのかイメージしづらい』
『どれぐらいの時間と費用がかかるのかイメージしづらい』
このようなお声をいただくことも多く、今回特別にお客様よりご了承をいただくことができたため、実際のご訪問の様子を測定事例としてご紹介させていただきます。
今回は東京都中央区にございますS社様にお伺いしました。
おしゃれなビルです。中央区ですので、車で20分程で到着です。
通常は、生産現場など関東郊外であったり、地方であったりしますので、拘束時間で考えると、ここが一番かかります(でも地方にいけると、それはそれで色々楽しみがあるので・・・・)。
階段が見えますね。エレベーターがあることを祈ります。
出張測定の具体的な流れは、以下の通りです。
- 搬入・セッティング
- 測定ポイントの確認
- 測定実施
- オゾン分解装置の取り付け
- 分解後濃度の測定
搬入・セッティング
現地でのオゾン濃度測定にあたって、持ち込む機材は、下記のような感じで意外と少なく、オゾン分解装置を除けば、台車一台分ほどです。
- オゾンモニター
- データ測定用ロガー
- 風速計
- オゾン分解装置
ある程度事前にオゾン濃度がわかっており、分解まで含めた対策を行う場合は、一緒にオゾン分解装置を持ち込ませていただきます。オゾン分解装置自体はサイズの幅が大きく、最大合わせて台車ニ台になるイメージです。写真の通り、今回は一台に収まりました。
クリーンルーム内であったり、すでに生産ラインが所狭しと据え付けられている際は、多少難儀しますが、それぞれの装置自体は、大人一人で運ぶことができますので、最悪なんとかなります。
オゾン濃度測定器を設置後、装置自体の立ち上がりに20分必要です。この立ち上がり作業は、装置内のUVランプの照度を安定させるためで、スキップすることは可能ですが、保守的に考えるとあまりスキップしないほうがよろしいかと思います(要するに、電源繋いだら20分待機です。作業員は何もしていないように見えますが、オゾンモニターの立ち上がりを待っているのです)。
測定ポイントの確認
今回は、印刷用のコロナ放電装置から発生するオゾン濃度の測定です。外国製のため、あまり事前情報はありませんが、装置サイズから推測すると、それほど(といっても危険ですが・・・・)高濃度ではなさそうです。
できれば訪問前に写真か動画で確認したいところですが、当然ですが生産現場の写真を外部に出すのはNGのケースが多く、イラストなどで事前打ち合わせを行いますが、やはり実際に訪問すると『おおっ』となるケースもございます(極力口には出しませんが・・・・)。
過去にお伺いした先で、コンベア装置内部の測定をしたいがオゾンを取り込むチューブを入れる隙間がない・・・となったことがあり、現地で頭を悩ませました(工夫して何とか測定はできましたが)。
FAQを確認しますと、一応NGなのは以下のようなケースです。
- Q:装置から測定場所までの距離はどれくらいまで離せますか?
- A:測定に使用するシリコーンホースの長さが5m程度ですので、それが限界となります。
- Q:測定ができない場所などありますか?
- A:シリコーンホースが届かないところは測定できません。例えばアクセスするルートの無いチャンバー内や手の届かない高所です。
現地で、そもそもオゾンがどこから発生して、どのように拡散していっているか議論になることも多く、やはり現地確認しないと進められないのが辛いところです。
測定実施
測定方針が決まれば、あとは粛々と測定を行っていきます。
オゾンモニター自体が移動(隣の部屋、工場が広くて電源一箇所だと届かないケースなど)しない限り、電源を抜くことはありませんので、測定自体は早く進みます。
オゾン取り込み口(チューブの先端)が届けば、1回の測定は5分ほど。オゾン濃度のムラが大きくない限り、オゾンの吸引は2~3分です。
基本的に現場での測定位置記録が文章では困難なため、別の作業者が写真で位置を残していきます。
建設現場の確認写真みたいなやつです。
クリーンルームなど清潔な場所が多いので、チョークのカスが出ないようにデジタルペーパーで記録してます。
ちなみに、この時の測定結果は装置すぐ近くの濃度で17ppm程度でした。この後オゾン分解装置を接続して安全なレベルまで分解できるか確認します。
オゾン分解装置の取り付け
お客様の希望は、オゾン濃度を測ることではなく、オゾンの発生を抑えたいということですので、ある程度オゾン濃度がわかっている場合は、オゾン分解装置をお持ちします。
手狭ですとちょっと時間がかかります・・・・。特に問題なければ、セットアップ自体は10分~15分くらいです。
<今回使用した装置>
型式:AOZ014
寸法:W128 × D241 × H184.2 mm
今回は一番小型なタイプのオゾン分解装置を接続しました。オゾン濃度が40ppmあたりを超えてくると中型装置の出番になります。
分解後のオゾン濃度測定
この時は、AOZ014一台でしたが、ちゃんと分解できました。分解後のオゾン濃度は、表示の通り0.00ppm。
撤収作業
クリーンルームなどでなければ、20分くらいでしょうか。ゴミも養生テープくらいですので、あっという間です。
お客様によってはその後、対策など打ち合わせ、退出します。
後日、測定位置とデータを照らした報告書を1週間目処にご提出し、一連の流れは完了です。
移動拘束時間がありませんでしたので、午後1時スタートで夕方終了といった感じです。
測定箇所は8ポイント、測定件数は12件でした。今回は、ポイント自体は少ないのですが、オゾン発生源の稼働前、稼働後、既存のフィルターの前後など段取替えで、ちょっと時間がかかりました。